金融業界でRWAトークンへの関心が高まる中、米ブラックロックのトークン化マネーマーケットファンド「BUIDL」(ビドル、BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund)が再び注目されている。2024年3月にEthereum上で発行されたBUIDLは、11月13日に新たに5つのブロックチェーン(Aptos、Arbitrum、Avalanche、OptimismのOP Mainnet、Polygon)に対応した。これにより、Web3投資家の利便性が一段と向上している。運用残高は5億4,470万ドル(出典:rwa.xyz)に達し、トークン化されたMMFとしては最大規模を誇る。
BUIDLの成長と信頼性
当初は法定通貨でのみアクセス可能だったが、ローンチから4ヶ月で運用残高が500億ドルを突破。その後も、販売プラットフォームSecuritizeを通じて利便性が向上し、着実に成長を続けている。

BUIDLは利付ステーブルコインとしてWeb3の注目を集める一方、現状では金利がつかないステーブルコイン(USDC)の安全な運用先として需要が高い。伝統金融の信頼性をWeb3領域に結びつけた点が評価され、ブラックロックの「信用力」と「ブランド力」に支えられた低いカウンターパーティリスクがWeb3投資家に安心感をもたらしているといえよう。
BUIDLは短期米国債などを運用する一般的なマネーマーケットファンドに類似しているが、配当がBUIDLトークンで行われる点が特徴的だ。配当のBUIDLトークンはUSDCに換金しない限り自動的に再投資される仕組みで、今後日本で同様の商品が発行検討される際にはBUIDLトークンに相当するトークンの位置づけが議論の対象になる可能性がある。
複数チェーン対応と管理手数料
今回の報道で注目すべきは、BUIDLの管理手数料だ。Ethereum、Arbitrum、Optimismでの購入には0.5%の管理手数料がかかるが、Aptos、Avalanche、Polygonでは0.2%に抑えられている。これはAptos財団、Avalanche社、Polygon Labs BD Investments社が各ブロックチェーンでのBUIDLの平均価値に基づき、四半期ごとに手数料をBlackRockに支払うことで合意したためである。
BUIDLへのアクセスコストが抑えられ、Web3投資家がさらに利用しやすくなることで、ブロックチェーンエコシステム全体の発展にもつながることを考慮した結果だろう。このような契約には、ブラックロックが提供する商品の影響力の強さが反映されているといえる。
今後の戦略
報道によれば、BUIDLは今後、暗号資産取引所での担保資産としての利用も計画している。BlackRockはBinance、OKX、Deribitなど主要取引所と協議を進め、BUIDLを担保としてデリバティブ取引に活用する可能性を探っている。利回りを備えた「利付ステーブルコイン」としてのユースケースも広がりを見せつつある。
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