ビットコインは、いまや企業だけでなく政府にとっても戦略的資産として注目を集めています。2024年には、米国のマイクロストラテジーを筆頭に、企業がビットコインを財務戦略に取り入れる動きを加速させた一方、米国では戦略ビットコイン備蓄計画として国家レベルでの保有の検討が進められています。
これを受け、日本でもビットコイン準備金導入検討について参議院議員の浜田聡氏が政府に質問主意書を提出しましたが、「政府として見解を示すことは困難」として慎重な立場が示されました。
ビットコインが「戦略資産」として国際的にどのような地位を築くのか、2025年に向けた各国の動向に注目が集まっています。
1. 企業のビットコイン戦略
マイクロストラテジー(MicroStrategy)
世界最大のビットコイン保有企業で、2024年時点で444,262 BTCを保有。CEOマイケル・セイラー氏は、長期的な価値保存資産としてビットコインに強気な姿勢を示しています。今後3年間で420億ドルを調達し、さらに保有量を増やす計画です。
保有量上位10社のうち、7社を米国企業が占める
Marathon Digital(44,394 BTC):米国のマイニング企業
Riot Platforms(17,429 BTC):米国のマイニング企業
Tesla(9,720 BTC):米国の自動車メーカー(イーロン・マスクCEO)
Coinbase(9,480 BTC):米国の暗号資産取引所 など
2. 米国の戦略ビットコイン備蓄(Strategic Bitcoin Reserve)の検討
米国政府は現在、犯罪捜査で押収したビットコインを約198,109 BTC保有しているとされています。これは戦略備蓄ではありませんが、国家としては中国(推定190,000 BTC)を上回る保有量と見られています。
米国では、ビットコインを戦略備蓄(SBR)とする案が検討されています。今月にはBitcoin Policy InstituteがSBRの大統領令草案を作成しました。この草案は、2025年のドナルド・トランプ氏就任初日に署名し発効することを目指しているものです。
- SBRの主なメリット
- 国家経済戦略への統合:
ビットコインを備蓄資産とすることで、経済的ショックや地政学的リスクに対する保険的な役割を果たす可能性があリます - ドル体制の強化:ビットコインを米国が先んじて保有することで、他国がビットコインをドル代替として採用する動きを抑制できるという見方があります
- 国家経済戦略への統合:
- SBRの主な課題
- 法的ハードル:金準備法(Gold Reserve Act)などの法律を解釈変更、または新たな法整備が必要となる可能性があります
- 価格変動リスク:ビットコインのボラティリティが依然として高く、財政運営にリスクをもたらす可能性があります
3. まとめ:2025年への期待
2025年には、ビットコインはさらに多くの企業や政府の関心を集める可能性があります。米国がSBRを具体化すれば、ドル体制の維持とビットコイン市場への影響力を強化するだけでなく、他国も追随する形で国家レベルでのビットコイン備蓄競争が激化し、国際金融システムに大きな影響を与えるかもしれません。ただし、ボラティリティの高さや法的課題など、解決すべき問題も山積しています。
日本国内では、国民民主党の玉木雄一郎議員が「米国に後れを取る危険性」を指摘しており、議論を前進させる動きが注目されています。ビットコインが「デジタル資産の基盤」として定着するのか、2025年も目が離せない年となるでしょう。
コメント