米銀大手モルガン・スタンレーが所有するオンライン証券会社Eトレードが、暗号資産取引の提供に向けた準備を進めているとの報道がありました。これが実現すれば、Eトレードは現在の株式やオプション取引に加え、暗号資産も扱うことで、顧客に新たな投資機会を提供できると期待されています。
モルガン・スタンレーは2020年、Eトレードを買収するために130億ドル(当時約1.46兆円)を投資し、520万の顧客口座と3,600億ドル相当の顧客を獲得しました。同社が暗号資産取引を導入すれば、この強固な顧客基盤を活かし、幅広い投資家層の市場参加を促進できる可能性があります。
暗号資産への市場全体の関心が高まる
アメリカでは、トランプ新政権により暗号資産に対する政府の姿勢が柔軟化していることを背景に、多くの金融機関が暗号資産市場への参入を模索しています。例えば、米ネット証券大手チャールズ・シュワブは、昨年11月に暗号資産サービスへの興味を示しており、2024年1月に就任したCEOウルスター氏が「サービス実現は近い」と示唆したことが報じられています。
また、暗号資産取引で先行するロビンフッドは、2024年の決算で好調な業績を発表しました。同社は暗号資産取引による手数料収入が2023年第3四半期比で165%増加しており、この成長が全体の収益拡大に大きく貢献しています。こうした成功事例は、暗号資産取引が今後の収益源として有望であることを示しており、競合他社にとっても同様のビジネスモデルを模索する動機となっている可能性もあります。
暗号資産が身近な投資商品に
ロビンフッドやフィデリティのようにすでに暗号資産サービスを展開している競合が存在する一方で、米国全体で見ても、暗号資産取引は依然として株式や不動産投資と比べると参加者が限定的で、多くの投資家にとってはリスクや規制の不透明さが参入の障壁となっています。
その中で、Eトレードのような大手ネット証券が暗号資産取引の提供を開始することは、市場全体の活性化を後押しする可能性があります。同社の参入は、暗号資産に対する信頼性を高めるだけでなく、これまで投資を躊躇していた層に新たな選択肢を提供することが期待されます。この動きにより、暗号資産市場の成熟とさらなる発展が促され、一般投資家にとっても身近な投資商品となる可能性が広がるでしょう。
(Eトレードの暗号資産取引準備に関する報道記事ソース)The Information
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