ウォール街の大手資産運用会社であるBlackRock(ブラックロック)やFranklin Templeton(フランクリン・テンプルトン)が提供するマネーマーケットファンド(MMF)のトークン化が、金融取引の担保として活用される動きが加速している。商品先物取引委員会(CFTC)のグローバル市場諮問委員会(GMAC)小委員会は、利用ガイドラインに関する勧告を全委員会に提出することを決定した。この動きは10月3日、ブルームバーグが関係者への取材をもとに報じたものであり、現時点で公式な発表はなされていない。
トークン担保取引、金融システムへの浸透が加速
今回の勧告は、登録金融機関が分散型台帳技術(DLT)を活用して非現金担保を保管・移転するためのガイドラインを整備するものだ。CFTCのマージン規制や他の金融規制に従い、デリバティブ取引などで、トークン化資産を担保として利用する際の条件を明確化する。委員会は今年後半にこの勧告について投票を行う予定であり、承認されれば、トークン化資産を担保に使用したい企業にとって大きなメリットが期待される。
BlackRockのBUIDLトークン、既に担保利用が進展
勧告が正式に承認されれば、多くの企業がトークン化された資産を担保として差し入れることで資本効率を向上させたいと考えており、トークン化資産の利用がさらに広がる可能性が高い。ただし、担保として利用できるトークン化資産は、AML(アンチ・マネー・ロンダリング)対策の観点から、パーミッションド型に限定されると予想される。
すでに暗号資産プライムブローカーのHidden Road(ヒドゥン・ロード)やFalconX(ファルコンX)は、BUIDLトークンを担保として受け入れており、資本効率を高める新たな手法として注目を集めている。特に、Hidden Roadはシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)において、BUIDLトークンをクロスマージンや現物取引証拠金の担保として利用できるようになっている。
これまで、顧客はビットコインのみを証拠金の担保として差し入れることができたが、ビットコインは利息を生まないため、資本効率に限界があった。現在もビットコインを担保に利用することは可能だが、BUIDLトークンは利息を得られるため、資本効率の向上につながる点が大きなメリットとされている。
今後、さらに多くの金融機関がこのトレンドに追随し、トークン化資産の担保利用が金融市場で広がっていくことが期待される。
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