米Circle社、Hashnote買収:トークン化MMFが牽引する金融サービスの進化

2025年1月21日(現地時間)、ステーブルコイン「USDC」を発行する米サークル社が、トークン化マネーマーケットファンド(MMF)の「USYC」を発行するHashnote社を買収しました。USYCは時価総額12.5億ドルに達し、現在時価総額で世界最大のトークン化MMFです。サークルは今回の買収を通じて、USYCとUSDCを統合し、デジタルアセット市場と伝統的金融市場(TradFi)の接続をさらに強化することを目指しています。

Hashnote社とUSYCの概要

Hashnote社は、世界的なトレーディング大手DRW傘下のCumberland Labsが設立したスタートアップ企業で、USYCは同社が発行するトークン化MMFです。このUSYCは短期国債を担保とするオーバーナイトレポによって構成され、規制準拠の安全性と流動性を兼ね備えています。


USYCは2024年11月、BlackRockが発行するトークン化MMF「BUIDL」を抜き、同分類のトークンでは、世界1位の時価総額を達成しました。しかし、現在USYCの約97%はステーブルコイン「Usual USD(USD0)」に依存しており、リスク分散が今後の課題とされています。

Circle社の狙い:USYCとUSDCの統合

サークル社は、USYCをUSDCと統合し、両資産間のシームレスな移動を可能にすることで、USYCを利回りのある担保資産として広く活用させることを目指しています。特に、暗号資産取引所、カストディアン、プライムブローカーを中心に導入を進め、デジタル資産市場とTradFi市場を効率的に接続することが狙いです。


CantonネットワークによるTradFi市場への進出

サークル社は、Hashnote社の買収と同時に、CantonネットワークでのUSDCネイティブサポートを発表しました。Cantonネットワークはプライバシーと安全性を備えたパブリックブロックチェーンであり、Broadridge、ゴールドマン・サックス、BNPパリバなど、複数の大手金融機関が利用しています。

USYCはすでにCantonネットワークでサポートされておりますが、USDCとの統合により、トークン化された担保資産(USYC)とステーブルコイン(USDC)の24時間365日の交換が可能になる予定です。これにより、暗号資産市場とTradFiの双方において、金融取引の効率向上が期待されています。


DRWとの戦略的パートナーシップ

サークル社は、DRW傘下で暗号資産流動性プロバイダーのCumberlandとの提携も発表しました。Cumberlandは、USDCとUSYCにおける流動性供給を担い、これらの資産の市場導入を支援します。

まとめ

サークル社によるHashnoteの買収は、トークン化金融資産を活用した効率性と利便性をさらに向上させる動きです。USYCとUSDCの統合、Cantonネットワークを活用した24時間365日の資産管理、そしてDRWとの提携により、デジタルアセットとTradFi市場の架け橋としての役割を果たすことが期待されます。


また、日本市場では現在、トークン化金融資産(セキュリティトークン・STO)がステーブルコインの裏付けとして活用される動きは確認できておりません。今回の米国の事例は、国内におけるトークン化金融資産の普及に向けた議論を活性化させる可能性があります。デジタルアセットと伝統的金融資産(TradFi)の融合がどのように進展していくか、引き続き注目が集まるでしょう。


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