2024年にローンチされたステーブルコイン「USD0」を発行するスタートアップのUsualが、Binance LabsとKraken Venturesをリード投資家として1,000万ドルのシリーズA調達を完了しました。
主に米国債を担保とするUSD0は、すでに時価総額が10億ドル規模に達し、ステーブルコインの取引量でも全体6位に入るなど、目覚ましい成長ぶりが業界の話題を集めています。
ステーブルコイン「USD0」とは
今回のシリーズA資金調達ラウンドには、合成ステーブルコインを発行するEthenaや、トークン化MMFなどを提供するOndo、さらに通称Cobie(Jordan Fish氏)が立ち上げた分散型ファンディングプラットフォームのEchoなど、複数の著名企業・投資家が参加。また、先週Usualとの連携を発表した分散型インフラを提供するM^0も出資に加わり、合計1,000万ドルを調達しました。これにより、Usualは今後の成長戦略を後押しする強力な支援を得た形です。
出資者
Binance LabsとKraken Venturesが主導し、Galaxy Ventures、Guy from Ethena、Ondo、Coinbase Ventures、IOSG Ventures、OKX Ventures、Wintermute、Echo、Fasanara Digital、Symbolic Capital、Amber、GSR、Psalion、Hypersphere Ventures、Avid3、FunFair Ventures、Leadblock Partners、Phaedrus、JPEG Trading、White Loop Capital、Krypital
Usualは、分散型で安全な法定通貨担保型ステーブルコインを提供するプロトコルであり、ネイティブトークン「USUAL」を通じて価値と所有権をユーザーに再分配することを特徴としています。
具体的には、USD0は米ドルに1:1で連動するステーブルコインで、主に米国債を担保とすることで高い透明性と安定性を実現しています。一方で、USD0を単に保有しているだけでは利息が支払われる仕組みではありません。USD0をステーキング(USD0++)することで、ネイティブトークンであるUSUALを報酬として受け取る設計が採用されています。この仕組みにより、プロトコルは年利80%のリターン予測を掲げています。
USD0の発行元であるUsualは、2017年から2022年にフランス国会議員を務めたPierre Person氏によって設立されました。Person氏は、フランス大統領与党の副代表としての経験を持ち、フランス議会で暗号資産法の整備を主導した実績が高く評価されています。Usualは、USDTやUSDCのように裏付資産の運用益を発行企業が集約するモデルとは異なり、利益をコミュニティに還元する設計を採用している点が注目されています。
まとめ・今後の見通し
コミュニティーへの利回りの分配と透明性を強調するUsualの仕組みは、多くのDeFi投資家にとって新たな選択肢となる可能性があります。ただし、USDTやUSDCでもDeFiプロトコルを通じて運用益を得る手段は存在しており、ステーブルコイン市場の競争は今後さらに激化することが予想されます。発行体の透明性や規制対応、裏付資産の管理など、多角的な視点で比較検討することが今後ますます重要になると考えられます。
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