Visaのトークン化プラットフォーム「VTAP」がもたらす新たな決済インフラの可能性

Visa(ビザ)は2024年10月3日、新たに開発したトークン化プラットフォーム「Visa Tokenized Asset Platform(VTAP)」を発表した。このプラットフォームは、ブロックチェーン技術を活用し、銀行が法定通貨に裏付けられたトークンの発行・管理を行うための基盤である。スペインの大手銀行BBVAは、VTAPを利用して2025年にパブリックチェーン上でトークン発行の試験運用(ライブ・パイロット)を行う予定だ。

Visaは、15,000以上の金融機関と連携し、200を超える国と地域で法定通貨決済を支えるグローバルなインフラを提供している。VTAPの導入により、既存の決済ネットワークとWeb3の融合がさらに加速することが期待されている。


VTAPプラットフォームの概要

VTAPは、Visa内のブロックチェーンエキスパートによって開発された最先端のソリューションであり、銀行がトークン化された預金(デポジットトークン)やステーブルコインなど、法定通貨に裏付けられたトークンの発行・送金・管理を一括して行うことができる。現在はVisa Developer Platformのサンドボックス環境で利用可能であり、参加する金融機関は独自の法定通貨担保型トークンを作成・試行することができる。BBVAの試験運用は、2025年にイーサリアムのパブリックチェーン上で行われる予定だ。

Visaのグローバル・ヘッド・オブ・イノベーション、ヴァネッサ・コレラ氏は「Visa は60年近くにわたりデジタル決済をリードしてきた、今回のVTAPの導入によって、再び業界を牽引する存在となる」と語っている。

VTAPプラットフォームのメリット

VTAPは、銀行が法定通貨を安全かつシームレスで効率的にブロックチェーン上に移行できるよう設計されたB2Bソリューションである。主な利点は以下の通り。

1. 容易なシステム連携

金融機関は、APIを通じて既存の金融インフラを常時稼働させながら、最小限の技術統合でVTAPの全サービスにアクセスし、より効率的な運用を実現できる

2. プログラマビリティ

スマートコントラクトを活用することで、金融機関は既存の業務プロセスを自動化できる。例えば、複雑な与信限度額の管理を自動化し、契約条件が満たされた場合に法定通貨担保型トークンを即時送金することができる。他にも、トークン化されたコモディティや国債をほぼリアルタイムで決済することも可能となる

3. インターオペラビリティ(相互運用性)

Visaは、VTAPを通じて複数のブロックチェーン間での相互運用を目指している。現在、トークン化されたリアルワールドアセットの発行は、複数のパーミッション型のパブリックブロックチェーン上で急速に拡大している。Visaは将来的に、VTAPの単一API接続を介して、法定通貨担保型トークンと、トークン化されたリアルワールドアセットの安全かつセキュアなクロスチェーン取引を支えるエコシステムの構築を目指す


決済インフラの変革
国内外でブロックチェーンを活用した決済インフラの整備が急速に進行している。国内の3メガバンクは、2025年中に貿易決済を中心とする企業間の効率的な国際送金の実用化に向けて、ブロックチェーン技術の導入を目指している。この取り組みは、SWIFTとの連携で進められる予定だ。

そのSWIFTは今月3日、2025年以降、各国の金融機関が同社のグローバルプラットフォームを活用してデジタル資産と通貨の決済に関するパイロット取引を実施できるようになると発表した。

また、VisaとSWIFTは昨年9月に、B2B国際送金に関する提携を発表しており、今後ブロックチェーンでも相互運用性の確保が進むことで、より効率的でシームレスな国際送金の実現が期待されよう。

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